2015年8月29日 神戸大学マンドリンクラブ創部100周年記念コンサート 本番風景


マンドリンパート Y.K.さんのレポート

 

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8月29日(土)、いよいよ本番当日。

 

8時50分現地集合なので、7時48分発の急行に乗って何とか間に合った。遅れてくると聞いていた名古屋のGenちゃんもぎりぎり間に合って1stマンドリンは全員そろった。 遠路名古屋から毎回その熱心さに脱帽。

 

リハーサルは9時半から。慣れない会場で、控室に足台を忘れてきたことに気づき、控室5階の504号までEVに乗ってとりに戻って席に座って、さて演奏を始めようとしたら今度は楽器の下に敷いているエルボがない。今度はさすがに時間がなくなったので、薄いハンカチを敷いて弾くようにしたが、どうも弾きにくい。

さらに、A指揮者が「調弦ができていない」と漏らした。そのままリハは終えたが、よく見たら私のチューニングは何と440になっており、びっくり仰天、慌ててすぐに442に直したが後の祭り。さんざんな演奏で、心配させてはいけないので、A指揮者には正直に「エルボがなくて弾きにくかった、また私の楽器のチューニングが間違っていた」ことを告白し、「本番ではきちんとするから」と断りを入れ謝った。慣れない場所での演奏開始には十分な用意が必要であり、いつものことであるが、場所が変わる本番現地でのリハの必要性・ありがたさを痛感した。

 

8月1日と、15日さらに22日の練習では合奏時の録音をとり、本番の前日もそれらを何回も聴いて弾きにくいところをチェックした。特に「マンドリンの群れ」では、スコアから、他のパートのガイド音符をパート譜にしっかり入れて合奏で縦の線を合わせられるよう準備した。

 

「マンドリンの群れ」スコアでは、最初のAllegroの早さが四分音符160になっており、A指揮者は132で行きます、とのことであった。年配者が多いので指揮者が妥協してくれているのかな、と心配もしていたため、本番前日思い切って、ネットで他の楽団の演奏を聴いたら、決して遅くない、むしろ妥当なことがわかり安心した。(電子譜のAllegroは早すぎたのかもしれない。)リハでは上記ハプニングがありよく弾けなかったが、本番では十分な準備が功を奏したのか、他の2曲とともに、ほぼ95点の演奏ができた感じがする。3曲とも低音パート(マンドラ、G、C、B)が重要な役割を演じているが、本番が一番よく音がでていたように感じた。

 

両指揮者の感性が良く、低音パートも活躍する原曲の良さをよく表現していたので、演奏者も満足でき、お客さんにも満足していただけたと思う。企画委員会の選曲に敬意を表する。

 

最後になったが、就活等に忙しいなか、シニアメンバーの多くの年寄りに混じってもの怖じせず合同演奏に参加協力いただいた若いメンバー、そしてなんといっても、特に指揮者にとっては未知の経験であり、「どんなメンバーやねん?どんな音がでてくるねん?」という大きい不安もあったと思うが、メンバーの実力をいち早く的確に把握し、下手をすると「こうるさい」演奏者に大きなプレッシャーを与えないまま練習予定期間内に合奏を終え、本番で成功裡に終わらせた二人の指揮者に大きな感謝と称賛の拍手を捧げたい。続いて、記念演奏会全体について軽く触れるよう事務局から命じられたので。

 

「OBステージ」の4曲、夏の暑いなか、朝から夕まで事前練習に励んだこと、そのご苦労を多とします。いずれも、OBステージに相応しい大曲で聴きごたえのあるものでした。

 

その中で、「祈り・・・」作曲者の小林由直氏が事前練習及びリハーサルにも駆けつけ指導いただいた由感謝します。28分にも及ぶ大曲で、打楽器も多く入ってテーマの通り作曲者の意図がよく表現された曲であり、それが十分表現されているかどうか、作曲者も気がかりでご指導いただいたことと思います。

 

ただし、非常に辛口のコメントをお許しいただけるなら、指揮者の打点を強調したバトンテクニックが「祈り…」という作曲者の思いにうまく合っていたのかどうか、若干の疑問を感じました。(祈りを表現するためには打点の強調はバトンテクニックとしては相応しくないのでは?という素人の感想です。)とは言え、第41回定期演奏会での委嘱作品、これをT指揮者が候補曲として取り上げたことと推測し評価します。

 

OBステージのどちらかには、時間が許せば私も参加したかったがそれも果たせず申し訳なく思うなかで、全体として、100周年を飾るに相応しいOBステージであり、風格もあり、立派な演奏であったこと高く評価します。ありがとうございました。

 

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(大西プロ、竹間プロと)

「感謝の会」:会開始前の竹間プロの独奏曲2曲が花を添えました。

また出席者への名札の配布、出席者の名簿といたれりつくせりで、また来賓の挨拶も妥当かつ的確で、準備していただいた関係者のご苦労を多とします。何十年ぶりに先輩・後輩に会えて懇談もできました。ありがとうございました。

 

「記念誌」:あらためて「100周年記念誌」を読み返し、まだ全部を読み切れていないけれど、大変よくできていることに感心するばかり....

また 編集後記を読んで、良く校正された内容で、Sさんの苦労に頭が下がります。

 

その中で、p.19からの、1965年第10回定演記念での「小史」の末尾p.28の15回生部長Nさんの意見に感ずるものがありました。部員が130名にもふくれあがっての苦労は、現在のクラブにも通じるところとそうでないところがあるのではないか、と。

 

その関連で私見を述べさせてもらえば、KUMCの一つの特徴は指導者(プロ又はセミプロ)がいないことです。演奏技術の伝承を含めて自分たちだけで何もかもこなさなくてはならない。そのなかで合奏もまとめることは主に指揮者の役割でしょう。つまり、指揮者の選定次第でその年のクラブの音楽性が決まると言っても過言ではなく、その選定は決定的に重要ですが、幸いなことに何年か前から、KUMCの指揮者は神戸大学発達科学部の斉田教授の「指揮法ゼミ」に通うことが定着しています。

 

指揮者は、演奏者をリードし、かつ演奏者にプレッシャーを与えない(実はこれが大変重要なのです)よう高度?なバトンテクニックを身に着けなければなりません。「たたき3年」と言いますから、2年生で選定される現役生では通常は無理があるのです。KUMCでは、その役割を上記ゼミが担っており、斉田先生を「感謝の会」に招待してもよいくらいでした。合同テージのM、Aさん、OBステージのT、Sさんはいずれも上記ゼミの卒業生であり、現役ステージのNさんも通っているはずです。

 

マンドリン演奏技術は、既に二人のプロが誕生するなど、他大学と比べても決して負けない域にありますが、指揮者のバトンテクニックの習得は継承がむつかしく、上記ゼミに頼るのが最も効果的かつ経済的です。今後ともクラブとして継続し、合奏レベルを維持しさらに向上させることを願ってやみません。  (以上長くなってすみません。)

 

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写真提供Y.K.さん

更新日:2015/09/01